子どもは、自分が好きなゲームのことを話したい

少し前、アンデシュ・ハンセンという精神科医の書いた本『スマホ脳』が話題になった。私たちはスマホに依存し、スマホのおかげで集中力を削がれている、といった内容の本だが、かなりの部分を、ストレスをはじめとしたメンタルの説明に使っている。

そこで、子育てをするうえでヒントになることが書かれていたので紹介したい。

ストレスが高い状態は、子ども本来の姿ではない

長期にわたってストレスホルモンの量が増えていると、脳はちゃんと機能しなくなる。常に「闘争か逃走か」という局面に立たされていると、闘争と逃走以外のことをすべて放棄してしまうのだ。

『スマホ脳』アンデシュ・ハンセン著

不登校になったばかりの子どもの多くは、「学校へ行かなくていいよ」と言われてからも強いストレスを持っているだろう。

「本当は行かなくてはいけないのに行けていない」

「お父さんとお母さんは学校に行ってほしいと思っている」

「いろいろな人の目が気になる」

そもそも、学校へ行けなくなるくらいのストレスがあったわけだから、嫌なこと、苦しいことで心が一杯になっていることも考えられる。

強いストレスにさらされると「闘争か逃走か」という選択しかなくなり、緻密なプレーをする余裕はなくなる。

『スマホ脳』アンデシュ・ハンセン著

ストレスが高い状態が続くと、(本能的に)命の危険があるため、「戦うか、逃げるか」という選択を迫られるという。ここからは想像だが、ストレス高い状態に置かれた子どもは、「ゲームの世界に逃げる」「ゲームを奪うもの(親や保護者)と戦う」といった心持ちになるのかもしれない。

子どもが好きなものを、多くの親は非難する。

大人の多くは、Switchなどのビデオゲームを非難する。

「そんなに遅くまでやって!」

「約束の時間になったのだからやめなさい」

「こんな時間までゲームして!」

ゲームの時間をゼロにしている家庭はなかなか少ないかもしれないが、ゲーム機が家にあっても、たいていは時間を制限しているだろう。それは一般的にも推奨されていることなので、ある程度の制限自体はよいことだと思う。

だが、そのルールを守れなかったときなど、上記のような親の対応により、子どもはどう思うだろうか。

「お母さんはゲームを嫌っている」

「お父さんに隠れてゲームをしよう」

「ゲームのことは家族に話さないようにしよう」

私たち自身も、子どもの頃にテレビの観すぎや夜更かしなど、好きなことを親に非難されてきた。だから「そういうもの」だと思っている。

でも、それは本当に「そういうもの」なのだろうか。

好きなことを非難されるのは、本来とても苦しいものだ。

子どもは、大好きなゲームのことを話したい

『スマホ脳』には、こうも書かれている。

人間は先天的に、自分のことを話すと報酬をもらえるようになっている。なぜだろうか。それは、周りの人とのきずなを強め、他者と協力して何かをする可能性を高めるためだ。

『スマホ脳』アンデシュ・ハンセン著

「報酬をもらえる」というのは、脳の報酬中枢と呼ばれる側坐核というところが活発化するということ。この部分は、セックス、食事、人との交流に反応し、自分のことを話しているときにも活発化するという。

「自分のこと」の例で書かれていたのは、スキーについてどう思うか聞かれ「スキーは最高だよ」と答える程度のこと。他の人の意見を聞くよりも、自分の意見を話しているほうが報酬が得られるというのだ。

それは感覚的にもわかる。自分のことを質問されて答える経験は、とても楽しいものだ。私などは医者の問診に答えるのすら喜びを感じる(おそらくこれは面倒に思う人も多そうだが)。また、何かあった時に「誰かに聞いてほしい」という経験は、誰しも身に覚えがあるのではないだろうか。

好きなことならなおさらだ。しかも、ストレスの高い子どもが、いちばんと言っていいくらいに好きなもの。その話を、大好きなお母さんとお父さんに話せないとしたら、どれだけ寂しい思いがするだろうか。

逆に、その話をお父さんとお母さんが嬉々として聞いてくれたとしたら、どれだけ満足して毎日を過ごせるだろうか。

ゲームdeコーチングでは、大好きなゲームを大人と共有する

子どもの親の多くは、ゲームにさほど詳しくない。その場合、話してもあまり理解できないだろう。特に、子どもの説明は上手と言えない場合が多く、知らない単語ばかり出てくると、親としても理解するのは難しい。

もともと同じゲームを楽しんでいる大学生くらいの大人の人と、一緒にゲームをしながらその話ができたらどうだろう。しかもその大人は、自分の話を上の空でなくしっかりと聞いてくれるのだ。

子どもはどれだけ満たされた気持ちになるかわからない。

友だち同士でももちろんいい。ただ、友だちの場合はずっと自分の話を聞いてくれるわけではない。大人の友人関係と同じことだ。

また、ストレスの高い子どもの場合は、相手と「持ちつ持たれつ」の関係をつかむのが難しいかもしれず、自分が主体となる時間が必要かもしれない。

そんな時間を、ゲームdeコーチングでは実現している。大好きなものを共有し、自分のことを話せる時間。子どもを、子どものころから幸せで満たしてあげること。それが私の願いだ。

この記事をシェア
ゲームdeコーチング・代表