メンターレポートで子どもの内面を知る

ゲームdeコーチングでは、メンターとお子さまで一緒にゲームをした後、メンターからレポートをお送りしている。それにより、お子さまのいろいろな面を知ることができる。実際、私も自分の子どもが実施していて、レポートを通じて新たな面を知ることが多いのだ。

子どもから話を聞いただけではよくわからない

子どもは自分の好きなことを何でも親に話したいものだと思う(そうでない子どもも例外的にいるだろうけれど……)。

子どもは自分の世界を夢中で話すが、大人のように前提知識を一から説明してくれるわけではない。ゲームを内の専門用語、固有名詞を容赦なく使うし、世界観を知っている前提で話す。主語を明確にしないまま話し続けるのは日常茶飯事だ。

「それって何?」「それがどうしたの?」と質問を浴びせると、子どもは面倒くさくなってしまう。とはいえ、大人としては意味が分からないままに子どもの話を聞くのも苦痛を伴う。かくして、「子どもが話している内容を上の空で聞く」という親子の図ができあがる。

ただ本当は、子どものことを知りたいと思っている親は多いはず。意味が分かって、楽しいのであれば聞きたいのだ。

メンターからのレポートは大人向けに「翻訳」されている

ゲームが終わった後にメンターから届くレポートは、ゲームの内容も大人向けに解説する。「○○という敵は強いので」「○○するにはなかなか手間がかかるのですが」と前提知識を捕捉しながら伝えるため、子どもの頑張り具合、達成感などを想像できる。

メンターさんにレポートを書いてもらううえで大事にしてもらっているのは、「解釈を入れすぎず描写に努める」ということ。「これが得意だから○○くんはこの能力が高い」と安易に結論付けるのはあまりよいこととは思わない。世の中には名前の付いていない能力も山ほどあり、それを伝えるには日々の描写を重ねていくしかない、と(私が個人的に)思っているからだ。

子どもがのびのびと「好き」と「得意」を伸ばせる世界

レポートで書かれていることは、子どもが自由な世界でのびのびと動いている様子だ。日々の物理的な生活ではそれほど現れていないことも多い。

例えば、リスクを取って戦いに出るのが好きな子ども、コツコツと物事を進める子ども、建築などの目に見えるものづくりが好きな子ども、クラフトなど化学反応のようなものづくりが好きな子ども、生き物を飼うのが好きな子ども、本当にさまざまだ。さらにそれぞれが組み合わさっている。

さらに、それらの楽しみ方、没頭の仕方もさまざまで。子どもの特徴が強く表れる。

大人に対して「何でもできるとしたら何がやりたい?」と思考の枠を取り払う質問をすることがある。それによって、本当に望んでいることが分かったりする。

ゲーム内は、その質問が現実になった世界に近い。現実の世界で死を恐れずに戦うことはできなくても、ゲーム内ならできる。さらに、頭の中でイメージするだけではなく、やってみて好きや得意を見つけているから、より精度が高まっていると言える。

親が子どものゲーム画面を少し覗いた程度では、こういう特徴はわかりにくいと思う。親も一緒にゲーム内に入って子どもの行動を体感できるとベストだが、なかなか技術的に追いつかず難しいケースが多い。だから、メンターがその様子を伝えることで、親には見えていなかった子どもの好きや得意が顕在化するのだ。

得意なことだから、「優しさ」「思いやり」も発揮できる

私たち大人も、できないことを他人に施すことはできない。

例えば、ひとり暮らしで料理ができずに困っている人に対して、代わりに料理をしてあげたり、料理を教えたりするのは、「料理ができる」というスキルがなくてはならない。

そういう意味で、子どもは実際の世界で誰かに優しさを発揮する機会がとても少ない。自分ができることが、周囲の大人より少ないからだ。

でも、ゲームの中は違う。

ゲームのことをよく知っていて、多くのことが「得意」と言えるほどできる。だからこそ、大人に対して「優しさ」「思いやり」を存分に発揮できるのだ。「やってあげるよ」「これ、あげる」という言葉がたくさん出てくるのも、子どもの新たな面を知る手掛かりになる。

ほんの短いレポートが、新しい発見や共通の話題につながる

ゲームのことを知らない人に、ゲームのことを伝えるのは大変だ。親に「何が楽しいの?」と聞かれても、子どもがしっかりと説明するのは難しい。

でも、レポートで知った内容から「今日は強い敵の○○を倒したんだって?」と聞けば、そこから話が広がるかもしれない。もちろん子どもは気まぐれだから、話が広がらないこともあるだろう。ただ、多少なり共通の話題ができることは間違いない。

ゲームdeコーチングのレポートは、子どものことが分かったり、親子のコミュニケーションを助ける手掛かりになる。

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ゲームdeコーチング・代表