「優位な状態で戦いたい!」を思う存分満たしてもらう

これまでに3つのメンターレポートを公開したが、それらはすべて、1回目のセッションでの出来事だ。

今回は4回目のセッションから、N君と僕が1対1でひたすら戦うエピソードを紹介する。友だち同士では「ずるい」と言われそうなルールでも、メンターとの間では実現できる。それは、もしかしたら「誰もが持ちうる欲求」を満たせる貴重な時間となっているのかもしれない。

この記事では、N君とメンターの僕との会話を、「マインクラフトのゲームシステム説明」と「メンターとして僕が感じたこと」を含めながら紹介する。

「メンターレポート」とは、実際のセッションの様子をメンター目線でレポートし、親御さんが読んでもわかるようにゲームの解説を加えたものです。
※【】で示された単語は、マインクラフトにおける用語です。

第1ラウンド ー装備と実力の圧倒的な差ー

戦いのきっかけは、クモの目だった。

「クモの目は食べれるよ」

N君が僕に、クモの目をくれた。

「うそ、不味いやろ」
「食べてみ、美味しいよ」
「じゃあ、頂きまーす」

食べてみると、一時的に満腹ゲージが回復したものの、【毒】状態になった。結果的に、体力ゲージも満腹ゲージも減ってしまった。つまり、N君にひっかけられたわけだ。

「……いやダル!! でもセーフセーフ、生きてた。はい、ということで犬ちゃんを倒します」

大人げないが、僕はやり返しとしてN君の飼っていた犬を倒した。ここから、N君と僕との戦いが始まった。

この時の武器と防具の強さは、明らかにN君のほうが上だった。そのため、N君の攻撃で僕はあっけなく死んでしまった。

「オハハハハ! ワンパン。アハハハハ」

N君が、高らかに勝利宣言をした。

「ワンパン……すか」

僕は、今は1対1で戦うノリだなと思い、リスポーン(復活)して装備をセットし直した。そして、再度N君に向かった。

僕は、N君に攻撃を数発当てることができたが、結局またN君の攻撃で死んでしまった。装備に圧倒的な差があり、どうしたって僕が負けてしまう。

その後、N君の提案で、僕たちは装備を拡充することにした。

第2ラウンド ーお互いしっかり準備ー

クリエイティブモードになり、僕たちは自由に装備を選んだ。装備を選ぶとき、お互いぶつぶつ独り言を垂れている。そしていったん装備を整えたN君が、僕の装備を確認しにきた。

「ねぇねぇ何を使った?」
「矢は、毒の矢にした~」
「そっちは(装備は)そのくらい?」
「そうやな。毒の矢と金の装備!」


「じゃあ俺はもうちょっと強化しようかな。やり方知ってる?」
「えーと、エンチャント?」
「うん。簡単にエンチャントできるんですよ」

N君は装備に【エンチャント】を始めた。

エンチャントとは、既存の武器に特殊な機能をつけ、強化することだ。マイクラには「武器に炎属性をつける」「防具に爆発耐性をつける」など、合計38種類のエンチャントがある。

N君がエンチャントを終え、装備の見せあいになった。

「わが進化を見るがよい! ……まだ見ないでよ。見たら死刑」
「だいぶキツイ刑やなぁ」
「よし、今からPvPや」
「よっしゃPvPや」

PvPとは「Player Versus Player」の略で、N君と僕のようにプレイヤー同士が戦うことを指す。一方で、僕たちが協力してコンピュータのゾンビと戦うことはPvE(Player Versus Enemy)と呼ぶ。これらの名称は、マイクラ以外のゲームでも同様に使われる。

N君と僕の装備を比べて、僕の装備がだいぶ弱かったので、戦闘開始を一旦待ってもらった。

「やっぱ、もうちょい装備強化。ダイヤモンドにする」
「あ、それ以上のヤツもあるよ。ネザライト(武器の材料)」
「お、じゃあそれにしようかな」
「いやネザライトは使わないで。俺が使ってるから」
「いや勝てんやん(笑)。まぁでも俺、プレイングスキルで勝っちゃうから」

ネタとして煽りを入れるが、本心ではプレイングスキル(ゲームの上手さ)でも敵わないと知っている。

装備の準備を終えて、ついに戦闘が始まった。装備は、お互いに弓と剣、そして防具を持っていた。舞台は昼のジャングルで木が茂っており、弓は当たりにくい。最初は少し離れた状態で始まり、まずはお互いを探す。

無言の探索が続き、ついに出会った。剣を振っている間はお互い真剣なので、あまり声は出ない。

……やはり僕は負けた。

「うぇぇぇぇぇちょっとちょっと! 勝てん勝てん! ……うはぁ。」
「やっぱ、パワーの弓は、強いですなぁ!」

おそらくN君の弓にはエンチャントが効いており、ダメージが増加したのだ。

「これは勝てないですねぇ」
「完敗と言ってくれぇ」
「完敗です。もう勝てねぇよ」
「勝てる希望はまだ残ってる! と思いながら戦う」
「そうやな、確かに。希望捨てたらあかんな。俺は希望を持つ!」

N君に励ましてもらいつつ、もう一度同じ装備で戦う。

しかしやはり、勝てなかった。

「あ、持てねぇわ。希望持てん」

第3ラウンド ー武器供給をN君に依存するー

僕の復活後、N君は僕に再戦のチャンスを与えてくれた。

「PvP再チャレンジしますか」
「Yes、もう一回しましょう」

僕がそう答えると、N君はいくつかの装備を僕にくれた。

会話の中にでてくる【ダメージ量】は、一回攻撃を当てた時に、相手の体力がどれくらい無くなるかの数値を指す。

「ならこれをあげましょう。金のパンツ!」
「ありがとう! あと剣も欲しい」
「剣はこれをあげましょう。ダメージ量は4」
「おぉ! 金の剣!」
「で、俺のネザライトの剣のダメージ量が10」
「いや勝てんやん(笑)」
「あと、最後の希望をあげましょう」
「あざす」
「それはね、弓だ」
「いただきやす」

2人の武器・防具の準備が整ったところで、戦闘が始まった。

「よーい、スタート!」

舞台は同じくジャングル。しかし夕方になっており、やや視界が狭かった。

N君に攻撃を当てることすら難しく、やはり僕が負けた。

「あぁぁぁぁ(負けてしまった)!」

「もう一回リトライしますか?」

「します」

装備を直し、N君の掛け声。

「よーい、スタート!」

今度は遠距離から、N君に弓でやられる。

「あー、弓強いわ」

その後も戦闘、装備変更が何回か続き、僕たちはPvPを楽しんだ。


N君とのPvPを通じて、思ったことが2つある。

まず、マイクラでは創造性が試され磨かれる。PvPの機能は充実していないが、使えるモノが多いので、工夫次第でずっと遊べる。

友だちとは違い、僕とのマイクラは自分が優位な状態で戦いたい」という、誰もが持つ思いを満たせる時間だとも言える。ストレスのない「無双状態が好き」なのも、N君の個性のひとつだろう。

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