たった数分で、彼の面倒見のよさを感じた

ゲームdeコーチングは、小学生の子どもと大学生のメンターがZoomで接続しながら、一緒にオンラインのゲームをするサービス。僕はメンターとして、小学校3年生のN君を担当して、一緒にマインクラフト(通称マイクラ)で遊んでいる。

ちょっと緊張して挑んだ初回は、なんと、インターネット接続不良。約15分の格闘の末、僕は、なんとかN君のワールドに入場した。ワールドとは遊ぶ世界のことで、自分の作ったワールドに友達を招待できる。また、個人で複数のワールドを所持できる。

接続不良で気分を悪くしていないか心配だった。しかし、つながった以降は、楽しく遊べた。

この記事では、ワールドに入った最初の数分間のやりとりを、「マイクラのゲームシステム説明」と「メンターとして僕が感じたこと」を含めながら紹介する。

「メンターレポート」とは、実際のセッションの様子をメンター目線でレポートし、親御さんが読んでもわかるようにゲームの解説を加えたものです。
※【】で示された単語は、マインクラフトにおける用語です。

出会うなり、装備と肉をくれたN君

ワールドに入ると、同じ世界で一緒に遊ぶことができる。ただ、ワールドに入ったからといって、すぐに同じ場所に登場するわけではない。僕はN君の場所がさっぱりわからないでいた。

「空飛ん……いましたァーーーー! おーーーい!」

「おおやったぁ! やっと入れた」

空飛ぶ機能を使って、僕を探してくれたN君。僕を見つけると大きな声で呼んでくれた。

見ると、すでに防具を付けて剣も持っている状態だった。

「おぉ、怖い怖い怖い、もう剣持ってる(笑)」

「はい、はい、これ剣です、はい」

N君はなんと、僕に剣をくれた。あらかじめ2つ作ってくれていたようだ。マイクラにはゾンビやクリーパーといった敵が存在するため、武器が有効なのだ。

そのやりとりだけで、準備をしっかりとする性格なのだろうと予想できた。

「ありがとう」

僕はお礼を言う。

少し自由行動をしていてN君とはぐれると、N君がリードしてくれる。

「あの、ちょっと方向音痴ですよー。あーちょっと、座標みえます?」

「座標……あ、見える見える」

マイクラの世界には【座標】という名のGPSがあり、常に画面上に表示されている。左右軸、前後軸、上下軸それぞれの数値で、三次元的に自分の場所が把握できるため、相手に座標を教えれば、見つけやすくなるのだ。

「あのー、今ちょっと、豚肉……はい(どうぞ)」

N君は、合流するなり豚肉をくれた。

「おぉありがとう」

「あげときますぅぅ!」

「肉ありがたいなぁ」

マイクラにおいて、食料は重要だ。。

キャラクターには【体力ゲージ】と【満腹ゲージ】があり、体力ゲージが0になると死ぬ。敵から攻撃されたり、高いところから落ちると体力が減る。

一方で、豚肉をはじめとする食べ物は、満腹ゲージを増加させる。

満腹ゲージが高いと、体力が「自然回復」する。逆に満腹ゲージが低いと、削られた体力はそのままとなる。

豚肉をはじめとする食べ物は、満腹ゲージを増加させる。

「食べる」⇒「満腹ゲージが溜まる」⇒「体力が自然回復する」

というシステムだ。

焼いて効果を上げる(満腹ゲージの増加量が増える)、畑で作物を作る(短時間で多くの食料を確保できる)ことも可能だ。

後々、街が発展するにつれて、お伝えしたい。

これだけいろいろとN君のことを知れたのに、実はワールドに入ってからまだ2分も経っていない。装備や食料や座標など、けっこう多方面で僕を気遣ってくれていると感じた。

ゾンビを避けてベッドで就寝し、羊から肉と羊毛をゲット

マイクラは現実世界の20分で1日が回っており、気が付くとすぐにあたりが暗くなっている。夜になると、昼間は安全だった場所にゾンビが徘徊し始める。

「逃げろーーー」

「え、逃げるの?」

「ちょと待って、こっち来てください。夜ね、ゾンビ来ますゾンビ。」

N君を追いかけ、ダッシュをする。

マイクラには【敵】が存在する。

ゾンビや蜘蛛、スライムなどの敵は、プレイヤーを攻撃する。攻撃をされると、プレイヤーの体力ゲージが減ってしまう。

彼らの多くは、【夜】または【雨】の時しか姿を見せない。N君は夜に辺りを徘徊するゾンビを警戒して、僕に注意を促してくれた。

突然逃げたので、積極的に戦うよりは、不要な戦いは避けるタイプなのかと予想しつつ、N君についていった。僕たちはゾンビがいない森に着いた。

「ほぉーなるほど、どうするん?」

「ちょっと待ってください、ベッド用意します……はいどうぞ、どうぞぉ」

「おぉー」

もちろんベッドも2人分あった。

【ベッド】は、重要な役割をもっている。

マイクラは材料の採集や加工、建築などを主に行うゲームだが、夜になり暗くなると作業がしにくい。多くのたいまつが無いと、前さえ見えないのだ。

ベッドは、夜の時間をスキップしてくれる道具である。

朝になった。

「ちょっと猛ダッシュで来てください。ジャンプしながら走ってください…あ、羊だ」

「どうするの?……あー、殺していく……いや肉にしていく」

僕は、N君の様子を実況中継していた。白い羊を見つけたN君は、剣を振って数発で羊を倒し、羊肉と羊毛を獲得した。

マイクラには、多くの種類の動物がいる。牛・豚・鶏・羊などはもちろん、アルパカもその辺を歩く。水の中にもぐれば、たくさんの魚がいるとわかる。

———-

ここで紹介したのはたった約3分間のやりとり。こんなに短い時間でも、面倒見の良さをはじめとする彼の性格をさまざまな側面で垣間見ることができた。

不機嫌な様子もなく、純粋に2人でゲームを楽しめていると思う。

この記事をシェア